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溺れていく。
嵌まっていく。
一度この人を知ってしまったら、もうここからは抜け出せない。
あとはもう、終わりが見えない深さまで、堕ちていくだけ。
「そういう事だから、さっきの続きしてもいい?」
「さっきの続きって……」
「まぁ、ダメって言われてもするけどね」
そう言って類は、また強引に唇を奪った。
そして首筋に、消えない痕をつける。
なんて強引なんだろう。
そう思ったのは、最初だけで。
結局私はキスを交わす度に、彼に触れられる度に、こんな風に自分を求めてくれる事を心から喜んでいる。
もっともっと、触れてほしいと願ってしまう。
全てを見て欲しいと、身体が無意識で望んでしまう。
強引に、全てを奪って欲しい。
私だけを、その鋭い瞳に映して欲しい。
「……類……」
私は彼の首に腕を回し、自分からその甘い唇に自分の唇を重ねた。
今までの恋とこの恋は、何もかもが違う。
自分にこんな欲深い一面があるだなんて、初めて知った。
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