果てしなく甘い夢

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「莉菜の事なら、何だってわかるよ。多分知らない事なんてないと思うけど?」 「……もしかして、盗聴とか盗撮とかしてるの?」 本気な顔で私がそう言うと、類はプッと吹き出してクスクスと笑った。 「さすがに俺もそこまではしないって。本気で怖がられても困るんだけど」 突拍子もない事を口にしてしまった自分が恥ずかしくなる。 「莉菜、昔から言ってたじゃん。朝ご飯にたらこが出てきたらテンション上がるって」 「そんな事言ってたっけ?」 「言ってたよ。小学生くらいの頃、莉菜の実家に俺が泊まりに行ったとき。たらこでご飯何回もおかわりしてた」 「……よくそんな事覚えてるね」 どれだけ食いしん坊なんだ私。 「覚えてるよ。あのときの莉菜、すげぇ可愛かったから」 「……」 甘い言葉をさらりと口にしてしまう類。 当然、いちいち戸惑うのは私だけ。 朝から類が甘過ぎて、正直朝食の味を噛みしめている余裕なんて一切なかった。
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