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「おい椿。先週打ち合わせした化粧品の広告の件どうなった?」
「あれなら今クライアントの返事待ちです」
「そっか……良い返事来るといいんだけど今の段階じゃ五分五分だよなー」
諸橋さんは無造作に髪をグシャグシャと掻に、手をつけていた仕事にまた取りかかった。
何かブツブツと言いながらペンを進めている諸橋さんに近寄り、俺は例の話を持ち掛けた。
「諸橋さん」
「あ?」
「彼女、出来ました?」
その瞬間、諸橋さんはペンを動かす手を止めて俺を睨みつけてきた。
「お前、後輩のくせにケンカ売るなんていい度胸してんな」
まぁ、彼女が出来ていない事は百発百中でわかっていた事だけど、一応確認。
俺は諸橋さんの睨みつけている視線を受け流しながら、更に言葉を続けた。
「じゃあ今、好きな人は?」
「だからさぁ……何なんだよお前。いるわけねーだろ。いたらとっくにアタックしてるっつーの」
諸橋さんがイライラしている様子を見るのはなかなか面白い。
なんて、我ながら嫌な後輩だな。
「じゃあ、紹介したい子がいるんですけど会ってみません?」
「行く」
……即答かよ。
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