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つい今の今まで俺を睨みつけていた諸橋さんは一瞬で満面の笑みに変わった。
単純な人は、扱いやすいから好きだ。
「何だよ椿~お前意外と良いヤツじゃん!で、どんな子?」
「いや、俺も会ったことないんですけど。俺の彼女と同じ職場の子で」
「へぇー……って、お前、今何て……」
そんなに驚くような事を言ったつもりはないのに、諸橋さんはひどく驚いた表情で俺を見つめた。
ほんと、コロコロ表情が変わる人だな、なんて呑気に思いながら俺は言葉を返す。
「だから、彼女と同じ職場の子……」
「はいストップ。彼女って、お前まさか、前に言ってたイトコの?」
なんだ、驚いてた理由はそこか。
「そうですよ。この間から付き合い始めたんで」
「うわうわうわ。ムカつくわ。何そのドヤ顔」
ドヤ顔なんかしていないつもりだけど。
いや、でももしかしたら、嬉し過ぎて顔に出てしまっていても不思議ではないか。
「まぁでも、一応良かったじゃん。おめでと」
「ありがとうございます」
「で?椿の彼女、何の仕事してんだっけ」
「……ネイリストです」
その言葉を聞いて、諸橋さんは明らかにテンションが更に上がった。
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