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「豪は心変わりするの早かったよね。今は愛ちゃんで落ち着いたけど、幼稚園の頃からコロコロ変わりすぎ……」
「俺の事はどうでもいいんだよ。つーか、お前、マジでムカつくな」
イラつきながら冷蔵庫へビールを取りに向かう豪の背中を見つめながら、俺は頬を緩めてしまっていた。
豪が何を言いたいのか、何を言うために今日ここへ来たのか。
勘の鋭い俺は、やっぱりこの時点で気付いていたから。
「何ニヤニヤ笑ってんだよ」
「いや、別に。笑ってないけど」
「ニヤニヤしてただろ今」
豪は今まで、どんな事でも俺にだけは相談してくれていた。
下らない話から、真剣な悩みまで。
きっと、家族に話せないような事も中にはあっただろう。
だからこそきっと。
俺が莉菜への想いを一度も相談しなかった事が、豪は許せなかったのかもしれない。
「豪ってほんと、俺の事好きなんだなと思って」
「は?気色悪い事言うなバカ」
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