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まるでこの1週間、俺を避けていた事実なんてなかったかのようなこの態度。
「何だよ、食わねーの?せっかく買ってきたのに。お前、辛いの好きじゃなかったっけ」
「いや、好きだけどさ」
あまりに普通過ぎる豪に拍子抜けした俺は、とりあえず少しスペースを空けて豪の隣に座った。
「ほら、ビール」
「どうも」
「はい、乾杯」
何の乾杯なのかもよくわからないまま、ビールの缶をゴツンと合わせて、二人でソファーに並んで無言でビールを飲む。
「……」
テレビのバラエティ番組の音だけが響き渡る空間の中、俺は先に口を開いた。
「……あのさ」
「お前さ、何で姉ちゃんがいいの?」
「え……」
豪は目の前のテレビに視線を向けたまま、俺に問いかけた。
「姉ちゃんより良い女なんか、いくらでもいるじゃん。わざわざ姉ちゃんじゃなくたっていいだろ」
「……莉菜より良い女なんかいないよ」
それだけは昔から、わかっている事。
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