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「わかってるよ。確かに豪の立場からすれば、複雑だと思う。けど、これだけは譲れないから」
莉菜の事だけは、今更手離すなんてあり得ない。
手を伸ばせば届く距離まで近付いて、やっと手に入れたんだ。
「豪にどれだけ反対されても、俺は莉菜を離すつもりはないよ」
「……」
「絶対に離さないし、離れないって自分の中で決めてるから」
それでも豪が、俺と莉菜の交際に反対だっていうなら、それはそれで仕方のない事だと思うしかない。
それが原因で、友情が壊れる事になったとしても……。
「だから、豪に避けられても俺は仕方ないって……」
「お前さぁ、そんな敵を睨みつけるような視線で俺見るのやめろよ」
そんな目で見ているつもりはなかったけれど、自分でも気付かない内に視線が鋭くなっていたのかもしれない。
「……ごめん」
「お前、俺が避けてた理由、わかってないよ」
そう言って豪は、ハッと息を漏らすように笑った。
「姉ちゃんとの事、俺が本気で反対するわけねーじゃん」
「え……」
「つーか、俺が腹立ったのはそこじゃなくて」
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