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豪は照れ隠しなのか、キムチ以外にも買ってきていたスナック菓子の袋をおもむろに開けてガツガツと食べ始めた。
「つーか、それを言うならお前の方だろ。俺に避けられて落ち込んでたくせに」
豪に避けられて落ち込んでいた。
確かにそれは、紛れもない事実だ。
俺にとって豪は、思っていたよりも特別な存在だった事に今回初めて気付かされた気がした。
「そうかもね」
「は?」
「結構、キツかったよ。だからもうあんな風に避けるのやめてね」
「……おぅ」
俺の素直な意見に豪は拍子抜けした様子で頷いた。
俺達はお互い3本目のビールに突入した。
豪の喋りは1本目を飲み始めたときよりだいぶ饒舌になっていた。
俺も、豪が自分を避けていた理由がわかったからか気が楽になって、気付けばいつもと何も変わらない家飲みの状態。
「けどお前さぁ、よくあの姉ちゃんをずっと好きでいられたよな。幻滅した事ねぇの?今まで」
「ないよ一度も」
今までも、これからも。
彼女の新しい一面を知ったとしても、幻滅する事なんて100%あり得ない。
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