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「まぁでも、反対されそうになったらそのときは俺がちゃんと助けてやるよ」
「頼りにしてるよ」
心の中に、一気に広がっていく安堵感。
豪との友情が壊れなくて良かった。
莉菜への想いを、理解してくれて良かった。
豪にちゃんと話して良かったと心から思った。
「けどさぁ、前にお前が遊園地に好きな女と行った話。あれ、相手が姉ちゃんなんだと思ったら、何かキモいな」
「極力、莉菜との話は豪にはしないようにするよ」
弟からすれば、姉と親友の恋の話なんてわざわざ詳しく聞きたくはないだろう。
「類、今日家泊めて。帰るのもう面倒くせーから」
「わかってるよ」
豪が泊まると言い出す事は、飲んでいるビールの本数から大体察知していた。
俺は立ち上がり、豪に貸すスウェットを取りに寝室へ向かおうとした。
そのとき、
「類。……一応、大事にしてやってくれよ姉ちゃんの事」
何だかんだ言いながらも、結局豪は姉想いの良い弟だと思う。
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