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「類どうして……!」
「とりあえず俺達もそろそろ席に戻ろう。豪には、俺からちゃんと話しておくから」
莉菜は何か言いたげな表情を見せたけれど、結局は俺の提案に従ってくれた。
豪と偶然ここで遭遇した事で、今日は諸橋さんと亜美ちゃんのためにここへ来ていた事をすっかり忘れていた俺達。
席に戻ったときには、もう完全に打ち解けている2人と宮本さんが楽しそうに話していた。
「あ!莉菜さん何してたんですか~遅いですよ!ていうか2人で戻ってくるなんて怪しい~!」
「ほんっとやらしいな椿!お前わざわざ店で彼女の事襲うなよ!」
「襲ってませんから」
キスはしたけど。
さすがに俺だって、店の通路で襲うような事はしない。
諸橋さんと亜美ちゃんは、恥ずかしそうに俯く莉菜を2人でいじり始めていた。
その隙に俺は宮本さんの隣に座り、2人の進展具合を伺う。
「で、この2人、うまくいきそうですか?」
「いや、間違いなく恋愛には発展しないパターンだね」
微笑みながら、少しの迷いもなく即答する宮本さん。
「……即答ですか」
「見たらわかるでしょ。ノリが合いすぎたら、恋人じゃなくて友達になっちゃうんだよ」
そう言われてよくよく諸橋さん達の会話に耳を傾けると、亜美ちゃんは既に諸橋さんの事を『モロッチ』なんて愛称で呼んでいた。
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