216人が本棚に入れています
本棚に追加
『豪と今日話せたよ。豪、今日俺の家に泊まって行くから。莉菜は明日ゆっくり話すといいよ』
仕事を終えて帰宅して、玄関の扉を開ける前にふぅ……と深呼吸する。
「……ただいま」
真っ暗な玄関。
パチンと電気を点けるけど、明かりに灯された室内から、人の気配は感じられない。
今日も帰ってこないのかな。
豪に類との関係を知られたあの日から約1週間。
いまだに豪と話す時間を作れずにいた。
仕事が終わって帰宅する頃には、豪は自分の部屋に閉じこもってしまって出てこない。
それか、彼女の家に行っていて帰ってこないか。
最近はその2つのパターンの繰り返し。
リビングに突き進み、ソファーの上に思いっきり倒れ込んだ。
「……」
別に無理やり話そうと思えば、話す時間ぐらい作れるはず。
だけど今まで一度も豪とこんな気まずい感じになった事がなかったから。
どうやって話を切り出せばいいのか私にはわからなかった。
……ダメな姉だな、本当に。
そんな風に、完全に気持ちが落ちていた矢先に、類から届いたメール。
最初のコメントを投稿しよう!