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そしてそのまま、ふっと更にその後ろの2人へ視線を向けた。
本当に、何気なくただ視線を移しただけ。
諸橋さんと青木さんは、楽しそうに会話をしていた。
仲の良い先輩後輩といった感じに見える。
「……」
そう。
ただ、それだけ。
どうしてだろう。
青木さんは、諸橋さんに好意を寄せている。
だからこの温泉旅行に参加した。
もしかしたらその私の推論は、根本的に間違っているのかもしれない。
だって青木さんの表情は、亜美ちゃんのようにはなっていなかったから。
まさか。
1つの嫌な想像が頭をよぎった瞬間、青木さんと視線がぶつかった。
その視線は、胸の奥に真っ直ぐ突き刺さるぐらい、強かった。
「莉菜、どうしたの?」
「……ううん。早く温泉、入りたいね」
お願い。
違うって、誰か言って。
何バカな妄想してるんだって、笑い飛ばしてよ。
……恋愛オンチの私の勘が、何故かこのときだけ無性に冴え渡ってしまったんだ。
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