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それからは、私も類もお互い仕事で忙しくて会う暇がないほどだった。
もともと休みの合わない私達だから、なかなか会えない事は最初から覚悟していた。
それでも週末は必ず私の職場に夜迎えに来てくれて、そのまま類の家へ泊まる。
月曜日は私の仕事が休みだから、類の家で苦手な料理をしながら類の帰りを待つ。
ここが、今までの恋愛とは大きく違うところ。
今までは、会えないなら会えないで仕方ないと思っている部分があった。
その思いに甘えて、少しの時間も作ろうとしなかった。
空いた時間があれば、彼のためではなく自分のために使う。
それが、私が今まで当然のように繰り返してきた事。
でも類と付き合い始めてから、当然のように繰り返してきた事を自然と繰り返さなくなっている自分がいた。
空いている時間には、仕事よりも何よりもまず類の事を考えている。
苦手な料理を、少しでも上達したいと思えるようになったのは、彼の存在のおかげだ。
「温泉旅行?」
「うんそう。明日から1泊で、箱根に行くの。類の職場の人達と一緒に」
多忙な中で日々はあっという間に過ぎていき、気が付けばもう温泉旅行の前日。
この日は美月が子供を旦那さんにお任せして、サロンにお客さんとして来てくれた。
亜美ちゃんは今お昼休憩で外に出ているから、サロン内にいるのは私と美月の2人だけ。
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