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三章
恐怖への歯車はこの時から動き始めたんだと思うそれはいつもの様に孝くんのお見舞いに行った時だった。
「…そういえば進…最近、体の不調とかは感じないか?」
「体の不調?…いや俺はなんとも無いけどいきなりなしたの孝くん?」
「…進が死体洗いの仕事の初日の日に来ることになっていた人がいただろ?」
「そういえば…その人が寝込んで来れなくなったから面接をしたその日に仕事に出ることになったね…その人がどうしたの?」
「実はその人…亡くなったらしいんだ…」
俺は孝くんの話に背筋がゾッとする感覚が走った。
「そして、俺のこの事故だろう…オカルトは信じてないけど偶然にしては話が出来すぎてると思ってな心配になったんだよ」
孝くんは自分の事故で不自由になった体を見ながら重苦しい空気で話を続けた。
「…ちなみにその亡くなった人の死因って何?」
「その事だけどな…心肺停止らしいんだよ…この仕事で寝込む位だから元々、体は弱い方なのかもしれないけどまだ40にもなっていない人がいきなり心肺停止するかな?…それに住んでいるアパートで遺体は見付かったらしいんだけど遺体の顔がもうすごい形相だったみたいなんだ」
俺は孝くんの話を聞いているとふと中田さんがニュースを観ていて顔が青ざめた事を思い出した。
中田さんの青ざめた原因のニュースとこの事は繋がっているかもしれないと思い孝くんに急用が出来たと伝え病室を出て事務所へと向かった。
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