四章

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 俺は洗い場の扉を開けすぐ横にある電気のスイッチを入れるが付かない仕方なく目を凝らして部屋の外から中の状況を確認すると奥で何かが動いている気配がする。 「中田さん!?…中田さんなの?」  俺はその動いている気配に声を掛けるが返事がないので確認が出来る位置まで部屋の中に入る事を決意する。  手探りで障害物を避ける様に慎重に部屋の中に入って行くといきなり明かりが点灯して気配の正体を知る。  気配は中田さんだったが壁に杭みたいな物で両手足を張り付けられ声帯を潰されて頭を振っているその姿に驚きよろめいて遺体の乗っているキャスター付きのベッドをひっくり返す。 「痛っっっ!?…中田さんいま助けるからね」  俺は転んだ体勢から立ちあがり中田さんの元へ駆け寄ろうとする。  しかし、ベッドに横たわっていた遺体だったはずの人が俺の右足首を掴み転倒させる。  俺は何が起きたか解らず頭の中を混乱させていると次々と遺体だったはずの人が動き出し転倒している俺に覆い被さるように身動きを封じてくる。  動きだした1体がおもむろにゆっくりと立ちあがり上半身をゆっくりと捻る様にこちらに向けて広角をぴくつかせながら上げるように笑うと中田さんの方に歩きながら上半身を正面に戻して行く。 「お…うぷ…おい!!どう…ぷは…する」  俺は覆い被さってくる遺体を必死に抵抗してもがいて退かしながら体を起き上がらさせて行く。  中田さんの所に歩いていた遺体はもう既に目の前まできていた。  遺体は医療用メスをどこからか取りだし中田さんの眼球目掛けて突き刺す。 「辞めろぉぉぉぉぉ」 「グアァァァァ」  俺の叫びも空しくメスは中田さんの眼球に刺さり声帯を潰されて声が出ない状態で叫ぶその後も遺体はメスでグサグサと中田さんの至るところを突き刺して中田さんの声にならない叫びが幾度も繰り返されたが張り付けられていた中田さんから滴り落ちる血が小さな水溜まり程度になる頃にはもう叫びが聞こえなく突き刺さる無情な音だけが鳴り響く。
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