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五章
ピピピピピピピピピピピピピ
「はぁ~…はぁ~…はぁ~」
俺は、上半身を起こし、荒く息をして、呼吸を整えながら、音のするに目をやると、携帯のアラームが、鳴り響いていた。
アラームを止めて、先程、締められていた首と、顔を触って確認して呟く。
「ゆ…め!?…なんて、リアルな夢だよ…あっ!!梨沙」
俺は、慌てて梨沙に電話を掛ける…コールが数回、鳴った後に通話の表示がされる。
「山田さん?…どうしたのですか?」
「えっ…あっ…り脇坂さん大丈夫?体の異常は無い?」
(危なかった…夢と現実がごっちゃになって、梨沙とか言いそうになった、そういやまだ下の名前を聞いてないんだっけ)
「えっ!?…話の状況が読めないんですが、とりあえず私は大丈夫ですよ」
俺は、脇坂さんに異常が無いことを確認すると、汗をかいたTシャツを着替える。
「そうか、それなら良かったよ…実はありえないほど、リアルな怖い夢を見ちゃって心配になったのさ」
「リアルな怖い夢をですか!?」
冷蔵庫から牛乳パックを取りだし、コップに注ぎ飲み干し喉を潤す。
「ぷはぁ~!!そうなのさ…最初はなんか脇坂さんと、良い雰囲気だったけど…今、冷静に夢から覚めてみると、脇坂さんから好意を持たれてる所で、夢だって気付けよなって思うよ」
「えっ!?………なんで、そこで夢だと思うんですか?…山田さんの事を、私が好意を持っているかもしれないじゃないですか」
仕事の準備の為に、洗面所へ歩き始める。
「いや…だって俺だよ?…それに、夢じゃお互い下の名前で、呼び合ってるし」
「へぇー?そうなんですか、そしたら現実でもそうしましょうよ、山田さんの下の名前を教えて下さい」
「えっ!?……俺の名前は進だよ」
(なんだか、だんだんとシチュエーションは違うけど、夢の展開になってるな…まさか、ほんとに梨沙って、名前だったりして)
「したら進さんですね、私の名前は梨沙です」
「!?…梨沙なの?」
「梨沙ですけど何かも………」
俺は、鏡を見て驚愕して、思わず携帯を落とした。
「嘘だろ…なんだよこれ…おかしい…だろう」
鏡に写っていた自分の姿には、くっきりと小さな両手で、首にアザが残されている、この状況に、パニック状態になる。
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