君と密室の中で

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だけど諸橋さんの言う事だ。 ただの勘違いだって可能性も十分あり得る。 「宮本さん、それ本当なんですか?」 別に俺が知っていい事ではないんだろうけど、どうしても気になってしまいストレートに聞く事にした。 「……諸橋、それいつ気付いた?」 宮本さんは俺の問いかけなんか聞こえていないかのように、逆に諸橋さんを問い詰めた。 「いつって……1ヶ月くらい前とか?いや、もっと前か。お前、俺と何年一緒にいると思ってんだよ。隠し通せるわけねーだろ」 「1ヶ月前か。……自分では気付かないフリしてたつもりだったんだけどな」 ていう事は、やっぱり本当にうまくいってなかったのか。 「え、でも別れたわけではないんですよね?」 「別れてないよ。それに今も一緒に住んでるし」 大好きな彼女との同棲。 俺からすれば、莉菜と一緒に暮らせるなんてそれこそ夢のような出来事だけど。 うまくいっていない事を自覚している相手と毎日顔を合わすのは、相当精神的にキツイと思う。 しかも諸橋さんの言う事が正しいとすれば、愛想を尽かされているのは宮本さんの方だという事だ。 好きな女性がもう自分に気持ちがない事をわかっていながら、それでも傍にいるなんて。 その行為に、意味はあるんだろうか。
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