君と密室の中で

19/40
前へ
/40ページ
次へ
「諸橋さんは青木さんの事見てればいいじゃないですか。自分が誘ったんだから」     「あーミズホちゃんねぇ……あの子可愛いんだけど、別に見て楽しむタイプの子じゃないんだよなー」 見て楽しむタイプの子って、どんな子なんだよ。 ていうか、諸橋さんの中で莉菜はそういうタイプなのか? 「椿、諸橋の言うこと真に受けるな。コイツ自身、自分の言ってる事半分以上わかってないんだから」 「それはそれでヤバくないですか?」 宮本さんにバカにされている事に気付いた諸橋さんは、更にヒートアップした。 「何だよミヤ。お前いっつも大人ぶりやがって。言っておくけど、お前と俺はタメなんだからな!」 「わかってるよそんな事。それに別に大人ぶってるつもりないし。俺は昔からこういう性格なんだよ」 ヒートアップした諸橋さんに指を差されても、唾が飛んできても全く動じず、宮本さんは淡々と缶ビールを喉へ流し込む。 「ったく、ミヤはほんとつまんねー男だな。だから茉希ちゃんにも愛想尽かされんだよ」 その瞬間、部屋の空気は一瞬で静まり返った。 聞こえてくるのは、諸橋さんがおつまみをクチャクチャと食べる音と、表情を変えない宮本さんがビールをゴクゴク飲む音だけ。 茉希ちゃんって確か、宮本さんの彼女の名前だよな。 でも、愛想を尽かされたって……?
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

203人が本棚に入れています
本棚に追加