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「諸橋さんは青木さんの事見てればいいじゃないですか。自分が誘ったんだから」
「あーミズホちゃんねぇ……あの子可愛いんだけど、別に見て楽しむタイプの子じゃないんだよなー」
見て楽しむタイプの子って、どんな子なんだよ。
ていうか、諸橋さんの中で莉菜はそういうタイプなのか?
「椿、諸橋の言うこと真に受けるな。コイツ自身、自分の言ってる事半分以上わかってないんだから」
「それはそれでヤバくないですか?」
宮本さんにバカにされている事に気付いた諸橋さんは、更にヒートアップした。
「何だよミヤ。お前いっつも大人ぶりやがって。言っておくけど、お前と俺はタメなんだからな!」
「わかってるよそんな事。それに別に大人ぶってるつもりないし。俺は昔からこういう性格なんだよ」
ヒートアップした諸橋さんに指を差されても、唾が飛んできても全く動じず、宮本さんは淡々と缶ビールを喉へ流し込む。
「ったく、ミヤはほんとつまんねー男だな。だから茉希ちゃんにも愛想尽かされんだよ」
その瞬間、部屋の空気は一瞬で静まり返った。
聞こえてくるのは、諸橋さんがおつまみをクチャクチャと食べる音と、表情を変えない宮本さんがビールをゴクゴク飲む音だけ。
茉希ちゃんって確か、宮本さんの彼女の名前だよな。
でも、愛想を尽かされたって……?
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