君と密室の中で

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「ミズホちゃんさぁ、風呂って長風呂OKなタイプ?それともすぐのぼせちゃう感じ?」 「私、お風呂大好きなんですよ。全くのぼせないです!家でもバラの香りとかの入浴剤入れて何時間でも入ったりしちゃって」 「へぇ~良いねぇやっぱ女子って感じだね」 別に興味はないけど聞こえてくる車内での諸橋さんと青木さんの会話。 そもそもまさか青木さんがこの旅行に参加するだなんて、少しも予想していなかった。 「モロッチ何かその聞き方変態みたいだよ」 「変態って……それひどいわ亜美ちゃん」 「だってミズホちゃんが長風呂派だろうがのぼせる派だろうが、モロッチに全く関係ないじゃん。ねぇ、莉菜さん」 諸橋さんと軽快な会話を繰り出す亜美ちゃんが、俺の隣の莉菜に話を振った。 「あはは。うん、でも確かにちょっとね」 「うわ、ひどいな莉菜ちゃんまで」 賑やかな諸橋さんと明るい亜美ちゃんのおかげで箱根へ向かう道中はずっと盛り上がっている。 けど、隣の莉菜の表情は決して明るいものではなかった。 そしてその原因を、多分俺は知っている。
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