君と密室の中で

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と、そこで。  その微笑みを崩さないまま、青木さんが口を開いた。 「本当、椿さんと莉菜さんって仲良いですよね。凄くお似合いだし、羨ましいなぁ……」    多分、今の言葉を亜美ちゃんが言ったとしたら俺は何も引っかかりはせず笑って流していたと思う。 けど、青木さんの口から聞こえたその言葉に何の悪気もないとは思えなかった。 そして彼女は、俺ではなく莉菜に対して言葉を続ける。 「莉菜さん素敵だから、相当モテるんじゃないですか?」 「何言ってるのミズホちゃん……私がモテるわけないでしょ。ほんと、女らしさが足りないってよく友達とか弟に言われるもん」 笑いながらそう返した莉菜の言葉を聞いて、ふと思った。 風呂に行く前は、莉菜は『青木さん』と彼女の事を呼んでいたはずなのに。 今じゃ自然と諸橋さんや亜美ちゃんのように、『ミズホちゃん』と呼んでいる。 それに風呂に行く前、俺が莉菜達の部屋に行ったときは、確かに莉菜は青木さんの事を疑っている素振りを見せていたはずだ。 ついでに俺に対してもおかしな態度を取っていたのに。 なのに今は青木さんと仲良く会話をしている。 そして俺の隣に寄り添いながら、本当に楽しそうに笑っている。 ……まさか、また青木さんに何か言われたのか?
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