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「あっ!でもでも、実は莉菜さん、本当にモテるんですよ!お店に来る男性客なんて、ほとんど莉菜さん狙いで来てるんですよ~」
ウキウキしながらそう言った亜美ちゃんの言葉に、俺が反応しないはずがなかった。
……莉菜狙いの男性客?
「ちょっと亜美ちゃん……適当な事言わないでよ。そんな人いないでしょ」
「え、莉菜さんまさか本当に気付いてないんですか?毎週土曜の昼にケアの予約入れてる樫木さん、莉菜さんの事超狙ってますよ」
「樫木さんが?まさか。亜美ちゃんの気のせいだって。樫木さんはそういうのじゃないから」
2人の会話がテンポ良く進んでいく中、俺の底の見えない嫉妬心がまた簡単に顔を出す。
……誰だよそいつ。
「あ、あと水曜の夜にたまに来る佐々木さんも莉菜さん狙いですよ。莉菜さんを見る目と、私を見る目が明らかに違いますもん」
「だからそんなわけないってば。亜美ちゃんダメだよそんな風にお客様の事見たら」
「えーでも絶対私の勘当たってますから!そういえば毎月1回定期的に来る細川さんだって、莉菜さんの事……」
「ないない!ないって」
莉菜は軽く笑いながら亜美ちゃんの話を流したけれど。
俺からすれば、そんな簡単に流していい話ではなかった。
莉菜の勘より、亜美ちゃんの勘の方がよっぽど信憑性がある。
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