君と密室の中で

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もうこうなったら、何が何でも中止の方向に進めるしかない。 青木さんは以前から、多分俺に好意を寄せている気がする。 直接告白されたわけではないから、気がするとしか言えない。 でもそれは宮本さんや諸橋さんでさえ、感じている事だ。 だけど俺にとって彼女の好意は全く嬉しいものではないし、むしろそれが本当だったとしたら正直迷惑としか言えない。 莉菜以外の女なんて、俺にとっては女じゃないから。 「とにかく中止にしましょう。俺、尚更行く気なくしました」 「無理だってもう予約したから。それに当日は椿に車出してもらわなきゃ困るんだよ」 諸橋さんいわく、宮本さんはその日彼女が車を使うから車を出せなくて、諸橋さんの車は6人は乗れないとの事。 「だったらレンタカーでも借りて行って下さいよ。とにかく俺は青木さんがいるなら行きませんから」 「でも今キャンセルしたら、莉菜ちゃんどう思うだろうね」 「……どういう意味ですか」 このとき、諸橋さんの話に耳を傾けてしまったのが間違いだった。
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