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「待てって椿!隣行ってどうするんだよ。もうとっくに莉菜ちゃん達は寝てるだろ」
「莉菜がヤバイかもしれないんです」
その言葉を残して、俺は部屋を飛び出し隣の部屋のドアをノックした。
だけど何の反応もない。
俺の勝手な妄想だったんだろうか。
もしそれなら、それで終わってくれた方が当然いい。
何もなく、莉菜がこの部屋で眠っていてくれるなら。
ただの俺の過剰な妄想で終わるなら……。
そう願いながら何度もドアを叩いていると、カチャッと鍵の開く音が聞こえて、扉が開いた。
眠そうな顔で俺に姿を見せたのは、莉菜ではなく亜美ちゃんだった。
「何だ椿さんかぁ……何なんですかドアガンガン叩いて……凄い迷惑なんですけど」
「莉菜は?ちゃんと寝てるの?」
部屋の奥を入口から覗き込んだけれど、当然真っ暗で見えるはずもない。
俺はただ、亜美ちゃんの言葉が返ってくるのを待った。
「え?莉菜さん?……あれ、ていうか、椿さん……莉菜さんとホテルのBARに行ったんじゃないんですか?」
……ホテルのBAR?
その瞬間、胸の奥に締め付けられるような痛みが走った。
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