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「どういう事それ」
俺の真剣な表情に気付いたのか、亜美ちゃんの表情も見る見るうちに強張っていくのがわかった。
「え……だって椿さんが、莉菜さんと2人で話したいから、ホテルの最上階にあるBARに来てって言ったんじゃ……」
「そんな事俺は言ってない!誰からそんな事聞いた?青木さん?」
亜美ちゃんは若干身体を震わせながら、小さくコクリと頷いた。
「ちょっとどいて」
俺は怒りを隠せないまま、部屋の入口に立っていた亜美ちゃんを払いのけて部屋の奥へと進んだ。
その部屋には、莉菜の姿も、青木さんの姿もなかった。
「あの、椿さん、私……ミズホちゃんからそう聞いて、莉菜さんに伝えておくように頼まれて……だから私そのまま莉菜さんに伝えちゃったんですけど……」
「莉菜、いつ出て行った?」
「ごめんなさい私酔っててちゃんと覚えてないんですけど、多分そんなに時間は経ってないと思います!莉菜さん眠そうだったけど、部屋出て行ったのは確かなんで……」
俺はほとんど彼女の言葉を最後まで聞かずに、部屋を出た。
向かった場所は、最上階のBAR。
莉菜は俺から青木さんには気をつけるようにと言われていたから、彼女に対しては警戒していたはず。
けど、相手が亜美ちゃんなら、警戒なんて一切しないはずだ。
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