君と密室の中で-2

12/40
前へ
/40ページ
次へ
彼女の狙いは何なんだ。 こんな事をしたら逆効果だって事ぐらい、誰にでもわかる。 莉菜に何かあったら、俺が許すはずない事も。 なのに、何故。 いや、今はそんな事よりも。 間に合ってくれ。 莉菜に何かが起きる前に。 タイミングよく扉が開いたエレベーターに乗り込み、最上階にあるBARを目指す。 嫌な汗が額から頬へと流れ落ちていく。 最悪な想像ばかりが、次々と頭の中を巡っていく。 ポーン……という、エレベーターが最上階に到着した事を知らせる機械音と共に、俺は扉が開いた瞬間走り出した。 そして、奥の突き当たりにあるBARの入口が見えた瞬間、胸の鼓動が一気にドクンと速くなった。 男2人に抱えられながら、朦朧としている莉菜の姿が目に飛び込んできたから。 「莉菜!」 彼女の名前を叫びながら駆け寄ると、彼女を両端から抱えていた若い男2人が、目を見開き気まずそうな表情で俺に視線を送ってきた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

175人が本棚に入れています
本棚に追加