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俺は立ち去ろうとする2人の背中に声をかけた。
「良かったな俺が間に合って。犯罪者にならなくて済んだじゃん」
「犯罪って……」
「お前らがやろうとしてた事は犯罪だよ。まぁ、本当に莉菜に何かしてたら、俺が殺してたけど」
冗談なんかじゃない。
莉菜がもし本当にアイツらに弄ばれたとしたら、俺は躊躇いなく、彼らを二度と這い上がれない苦しみの淵へ突き落とす。
彼らが立ち去った後、俺は莉菜を背負いながら自分の宿泊している部屋へと向かった。
俺の耳元に、彼女の苦しそうな吐息がかかる。
その息を感じる度に、果てしない罪悪感が胸に募っていく。
俺がこの旅行に参加しなければ。
莉菜に嫉妬してほしいだなんて、女々しい願望を持たなければ。
俺がもっとしっかりしていれば。
莉菜をこんな目に遭わせる事はなかった。
膨れ上がった後悔に押し潰されそうになりながら、それでも莉菜だけは離したくなくて、どう償えばいいのかもわからないまま部屋の扉を開けた。
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