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「私……そういえば、BARに……あれ、でも類が来る前に寝ちゃって……」
「莉菜、ごめん。……俺のせいで、あと少しで危険な目に遭うところだったんだ」
「え……?」
莉菜はどうやら亜美ちゃんに言われてBARに行ったところまでは覚えているけれど、その先の事はどうしても思い出せない様子だった。
思い出せないのも無理はない。
BARから男に抱えられるように出てきた莉菜は、とても意識があるようには見えなかった。
「そもそも俺は話があるから最上階のBARに来て欲しいなんて亜美ちゃんに一言も言ってないんだよ」
「え?じゃあどうして亜美ちゃん……」
「青木さんが嘘を亜美ちゃんに吹き込んだんだよ。多分、莉菜と俺を陥れるために」
彼女が何故そこまでするのかはわからないけれど、彼女が嘘をついて莉菜を危険な目に遭わせようと企んだ事だけは紛れもない事実だ。
「実際、間一髪で間に合ったから良かったけど、あと少し遅かったら莉菜は……」
間違いなく、あの男達に暴行されていた。
その様子を一瞬想像しただけで、強い憎しみが思考を支配する。
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