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確か莉菜は、亜美ちゃんと青木さんと3人でガールズトークが始まった頃はちゃんと起きていたはず。
その前だって、桃の缶酎ハイしかほとんど飲まずに、明日は仕事だからと言って飲む量もしっかり自分でセーブしていた。
だから酔ってはいなかった。
絶対に。
それなのに、あんなに急に眠くなったりするだろうか。
「どうした?椿」
そのとき宮本さんが立ち上がり、「何かあったのか」と言いながら、テーブルの上に散らかっている空いたグラスや空き缶を片付け始めた。
「……そのグラス……」
「グラス?これがどうかした?」
宮本さんが片手で持ち上げた、空のグラス。
グラスの底には少しだけ、濃い赤紫の液体が残っていた。
そういえばあのとき。
青木さんは、莉菜と亜美ちゃんに自分が作ったカシスオレンジを手渡した。
そして莉菜はそれを飲んだ後に、突然急激な眠気に襲われたんだとしたら。
莉菜が飲んだ酒にだけ、彼女が何か入れていたとしたら。
「ちょっと隣行ってきます」
「え?今から?」
わざわざ眠らせるためだけに、そんな事をする必要はない。
もしこの想像が当たっていたとしたら、他に何か企みがあるはずだ。
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