敵意の先にある想い

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「莉菜のそういう優しさは勿論莉菜のいい所でもあるけど、莉菜がどれだけ彼女を不憫に思ったところで人はそんな簡単には変わらないよ」 「……」 「多分彼女は、自分に何か都合の悪い事が起きる度に、他人のせいにしてこれからも生きていくんじゃないかな」 自分の非は認めずに。 自分の罪さえ、他人のせいにする。 そうやって生きていく事で、最後に残るものって何なんだろう。 ……きっと、虚しさしか残らない。 「人の気持ちって、難しいね」 今までちゃんと考えた事はなかったけれど、他人の気持ちを理解するって、本当は凄く困難な事なのかもしれない。 「とりあえずもう大丈夫だよ。いろいろ本当にごめん。もう二度と莉菜に危害を加えるような事はないと思う」 「……類、青木さんに何を言ったの?」 「まぁ、いろいろと。莉菜は知らなくていいよ」 怒ってこんな時間に帰ってしまうくらいだもん。 よっぽど酷い事を冷静に言ったに違いない。 「とりあえず、寝る?」 「え?」 類は私の体から離れ、床に敷いていた布団を綺麗に敷き直し始めた。 私はただぼんやりと、几帳面な類の布団の敷き方を眺めていた。
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