敵意の先にある想い

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「ダメ。離す気ないから、このまま寝て」 類はいつもそう。 週末類の家に泊まりに行って夜一緒に寝るときも、絶対私に背中を向けるような事をしない。 寝相の悪い私が背中を向ける事は多々あるけど。 でもそんなときだって、類は私を背後から抱きしめて眠る。   離れて寝た方が、絶対寝やすいはずなのに。 私は完全に、類の抱き枕状態だ。 「類は、寝づらくないの?こんなにくっついて」 「むしろ最近は、莉菜が傍にいないと寝れない」 「……」 こんな事、今までの恋人に言われた事なんて一度もない。 いや、むしろ、言われる日が訪れるなんて思いもしなかった。 ヤバイ。 かなり胸がキュンとしてしまった。 「あ、今キュンとした?」 「な、何でわかるの?」 「面白いくらい、心臓の音速くなったから」 クスクスと楽しそうに笑いながら私の髪を指で撫でる類。 いつだって類の方が私より一枚上手だ。
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