敵意の先にある想い

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こうなったら、機嫌を直す方法は1つしかない。 「ね、類」 「何」 類がふっと私の方へ顔を傾けた瞬間、彼の唇にちゅ、と触れるだけのキスをした。 「私が起きるときまでに、機嫌直してね。おやすみなさい」 するだけして、言うだけ言って、彼の胸元に顔を埋めた。 類が今どんな顔をしているのかなんて見えないけど、きっと頬を緩めてくれているはず。 私の頭上で、類がふっと笑みを零す気配を感じたから。 「……おやすみ」 類のその言葉を最後に、私は夢の中へと堕ちて行った。 夢の中で、私は必死に願っていた。 類との将来を。 このまま永遠に、隣で笑っていられるようにと。 ……私のたったひとつの、願い。
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