敵意の先にある想い

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彼女が抱いている敵意に、類はきっと関係ない。 「青木さん、もしかして私とどこかで会った事ある?」 その瞬間、彼女はさっきの動揺とは比べようもない程の激しい動揺を見せた。 俯いていた顔を上げ、目を見開き私を見つめる。 明らかにその表情には焦りが見えていた。 「どうして……」 「ごめんなさい。どこで会ったのか、どうしても思い出せないんだけど。もしそのときに、あなたに恨まれるような事を私がしたなら謝ります」 類に助けられた後に、この可能性に気付いた。 私はもともとない記憶力をどうにか引っ張り出して彼女の事を思い出そうと努力した。 でも、どれだけ考えても、無理だった。 他人が、どこでどんな場面で恨みを抱くかなんて誰にもわからない。 自分には理解出来ないような事でも、恨まれる可能性なんていくらでもある。 また、その逆も当然ある。 私が怒りを感じたり許せないと思うような事も、他人にとっては何でもないような事だったりする。 知らない間に私は、目の前にいる彼女を傷つけていたのかもしれない。
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