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莉菜は最近付き合い始めた頃よりも、俺の微妙な顔色の変化に気付くようになった気がする。
とは言っても、きっと風呂に勝手に入った事を怒ってると勘違いしてるんだろうけど。
「ごめん、やっぱ留守のときに勝手にお風呂使われたら嫌だよね」
「俺がそんな事で怒るわけないじゃん。ていうか、むしろ莉菜には自分の家のようにくつろいでほしいと思ってるし」
俺の家と莉菜の家じゃ間取りから部屋の雰囲気から香りから、何から何まで違うけれど、いつだってリラックスしていてほしいと思っている。
いつでも、俺の前では素の莉菜でいてほしいと思っている。
「怒ってるわけじゃないけど、電話には出てくれないかな」
「電話?……あ!」
莉菜は慌ててソファーへ向かい、ソファーの上に置き去りにされていたスマホを確認し始めた。
「うわ、電話してくれてたんだ類。ごめん、全然気付かなかった」
「これからはなるべくそれに気付くようにしてほしいんだよ。こっちは、本気で心配してるんだから」
少しでもいいから、伝わってほしい。
俺がどれだけ毎日莉菜の事ばかり考えているのかを。
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