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「俺もそれは言ったんですけど、莉菜がそこまでする必要はないって」
「甘いな~莉菜ちゃんは。俺ならぜっっったい許さないけどね。同じくらい危ない目に遭わせてやるけど」
「でも、そこが莉菜ちゃんの良いところでもあるんじゃない?ああいうお人好しなところ、椿は好きなんだろ」
「……好きです」
そう。
結局、莉菜の全てに惚れ込んでしまっている俺は、莉菜の選択を否定する事なんて出来なかった。
それどころか、青木さんが退職する事を知って自分の事のように心配していたくらいだ。
昔から莉菜は、自分が傷ついたり苦しい事があっても、他人の前では平然と振る舞う。
そして、誰もいない所で1人、涙を流す。
それなのに、他人の事になるといつも必死になる。
必要以上に心配し、世話を焼く。
「莉菜は、昔からそうなんですよ。本当、バカみたいに他人に優しいんですよね」
子供の頃から知っているから、莉菜のそういうエピソードならいくらでもある。
ずっとずっと、莉菜ばかり見てきたから、多分莉菜本人よりも俺の方が莉菜の性格を知り尽くしている自信はある。
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