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「豪、実家帰るのどれくらいぶり?」
「え?忘れた。とにかくすっげー久し振り」
「適当だね相変わらず」
「何だよ。つーか、姉ちゃんは?いつぶり?」
「……忘れた」
月末の月曜日。
ついに、両親に類との交際を明かす日がやってきた。
瑛祐と別れてからは、母には彼氏はいないと聞かれる度に何度も誤魔化してきたけど、さすがにもう誤魔化すのはやめようと思った。
やっぱり嘘をつき続ける事は、他人のために良くないけれど自分のためにも良くない事だと思うから。
それに、類と一緒に暮らすなら、間違いなく避けて通れない難関。
「つーかさ、許すかなそう簡単に。姉ちゃんと類の事。母さんも父さんも、絶対うるさく言ってくるよ。ケンカになるの、目に見えてるし」
「ケンカになってもいいの。もう覚悟は決めてきたんだから」
この間の青木さんの一件で、凄く考えさせられた事がある。
たまたま今回、彼女の標的が私だったから類が間一髪のところで助けてくれたけれど、あれがもし逆だったらどうだったんだろう。
類が危険な目に遭ったとき、私はちゃんと彼の事を守れるんだろうか。
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