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「お父さん……帰ってくるの早かったね」
「あぁ、今日は莉菜と豪が帰ってくるって聞いてたからな。早く帰ってきたんだよ」
父がそんなに私達の帰りを楽しみにしていたなんて思わなかった。
この時間まで居て、良かったかもしれない。
「夕飯食べて行かないのか?」
「あ……」
でも、ここまで楽しみにしてくれていたのに、今帰るなんてさすがに言いづらい。
「あーごめん父さん。俺達もう帰るんだよね。ちょうど今帰るとこだったんだよ」
「……」
豪の空気の読めなさは、本当にある意味尊敬するかも。
「そうか……もう帰るのか」
もう少し居ればいいのに、とは言わないけれど、まだ帰らないでほしいオーラを僅かに醸し出す父。
そんな父に、突然母がテンション高く話しかけた。
「そうそう、聞いてよお父さん。今日ね、莉菜も豪も凄く良い報告を持ってきてくれたのよ」
その瞬間、胸の鼓動が一気に速くなった。
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