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「……あの、お父さん、私……」
「莉菜。今すぐ別れなさい」
シン……と静まり返ったリビングに、父のその言葉がやけに響いた。
父がそんな事冗談で言うような人じゃない事は家族なら誰もがわかっている。
でもだからって、「別れなさい」と言われて素直に「はい」だなんて返事するはずがない。
「別れなさいって……やめてよお父さん。どうして類との交際を反対するの?世間体?イトコだから?それとも……類が叔父さんの息子だから?」
父が類との交際を反対する理由を、挙げられるだけ挙げてみた。
その中でもきっと、その理由に1番近いものは、最後に私が口にした言葉だろう。
類が、叔父さんの息子だから。
父と犬猿の仲の叔父さんの、息子だから。
「答えてよ」
「……」
だけど父は、何も言葉を返してくれなかった。
ただ、言葉に出来ない怒りを必死で抑えているようにも見えた。
「お父さんと叔父さんの仲が悪いから……だから反対するんでしょ?でもそれって正直私と類には何の関係もないよね」
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