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「まぁ、そのうちお父さんも冷静になって帰ってくるでしょ。ほら、あんた達も早く帰りなさい。時間ないんでしょ?」
「……また話しに来るからって、お父さんに伝えておいて」
結局消化不良なまま、私と豪は電車に乗って帰宅した。
大量の野菜と惣菜を手に持ちながら。
「たっだいまー!マジ疲れたー!やっぱ実家よりこっちの家の方が落ち着くよな。帰ってきたって感じ」
「何か自分の家みたいに言ってるけど、私の家なんだからね。結婚するなら早く出て行ってよ」
「今不動産屋でいろいろ見て探してるから」
帰ってきて早々、母が持たせてくれた野菜や惣菜には目もくれずにソファーにだらしなく寝転ぶ弟。
結婚生活、これからちゃんとやっていけるのか姉として本気で心配になる。
「豪!ちょっと野菜冷蔵庫に入れるの手伝ってよ」
「そんなの後でやればいいじゃん。あれ、姉ちゃん、電話きてるよ」
豪は体を起こし、勝手に私のバッグから私のスマホを取り出し画面を覗き込んでいた。
「類から着信でーす。俺代わりに出てあげるから」
「は?ちょっと……」
と言ってる間に、豪はスマホの画面をタップして勝手に類からの電話に出た。
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