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「もしもーし。おぉ、オレオレ。うん、うん。え?あーちょい待って」
豪は耳元からスマホを離し、私に手渡してきた。
「姉ちゃんに代われだって」
「当たり前でしょ。私に電話きたんだから」
勝手に姉の電話に出てしまうデリカシーのない弟に呆れながら、私はスマホを耳元に当てた。
「類、ごめんね豪が勝手に電話出ちゃって。どうしたの?」
「いや、それは別にいいんだけど……莉菜もう家帰ってきた?」
「うん今着いたとこ」
類は今仕事を終えたばかりなのか、電話の奥からは車の走る音や誰かの話し声が聞こえてきていた。
「類は今外にいるの?仕事終わったとこ?」
「うん、今仕事終わったからこれから実家に行くんだけど」
そう言われて、類も今日実家に帰るって言ってた事を思い出した。
でも類の実家は都内だから、多分すぐに帰れるはずだ。
私や豪とは違って、類は車も持っている。
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