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「……強引過ぎだし」
切れてしまったスマホに向かって文句を呟きながらも、今更行かないなんて言うわけにもいかない。
私は急いで野菜を冷蔵庫に全て閉まって、すぐに化粧直しに取りかかった。
「なに姉ちゃん。どっか出かけんの?」
「今から類の実家に行く事になったの」
「は?今から?」
予想外の展開だけど、戸惑ってるヒマはない。
類が迎えに来てくれたら、類の実家に着く前にどこかで手土産を一応買って……。
「あ、お母さんがくれた野菜、少し持って行こうかな」
「あーいいんじゃない?いっぱいあって食いきれないし。類の実家、しばらく行ってないな。俺も行きたいなー」
「今日は無理。豪がいると、何かややこしい事になりそうだから」
豪なら、平気で私の変な情報を類の親に口走ってしまいそうだ。
「……」
本当に、大丈夫なんだろうか。
類の相手は、私でいいんだろうか。
類と、ずっと一緒にいたい。
その気持ちは変わっていないのに、私の父のあの態度を見た直後だからか、余計に不安感が募ってしまった。
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