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「なぁそれよりさ、父さんは大丈夫なの？母さんは類の事気に入ってるから賛成してくれたけど、父さんは反対するかもしんねーじゃん。類の父さんと仲悪いし」
豪のその言葉で、浮かれていた気持ちが一瞬で沈んだ。
母が思いのほかあっさりと賛成してくれた事で安心し過ぎて、肝心の父の存在をすっかり忘れていた。
以前父が、類だけはダメだと豪に言った話が頭をよぎる。
どうして類はダメなのか。
何故父はそんな事を言ったのか。
結局その答えは、わからないままだ。
「そうねぇ……確かにあの2人、仲は相当悪いけど、莉菜と類くんの交際に関しては別なんじゃないかしら」
「つーかさ、何で仲悪いの？気付いたら仲悪かったよな。母さん、何か知らないの？」
世の中、仲の良い兄弟ばかりじゃない事はわかってるけれど、それにしても父と類のお父さんの仲の悪さは際立っていた。
言葉を交わさなければ、視線を合わせる事もない。
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