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「まだ類くんが子供の頃……確かあのときは小学生くらいだったかしら。あの子、可愛い顔して私にお願いしてきたのよ」
「お願い?類がお母さんに?」
「大きくなったら、莉菜と結婚させて下さいって」
「は!?」
……完全に初耳だった。
「何それ……私そんなの初めて聞いたんだけど」
「俺も」
「私も今、初めて言ったわ」
平然とした表情でサラリと口にする母。
当然驚いたのは私だけじゃなく、隣の豪も大袈裟に驚いていた。
「マジで?類のヤツ……母さんにそんな事言うほど姉ちゃんの事好きだったんだ」
そして、チラリと冷たい視線を私に送る。
その目が、『どうしてこんな何の魅力もない姉を類は好きなんだろう』と言っている気がして私は強く睨み返した。
「あの頃はもうその類くんが可愛過ぎて、こちらこそ莉菜をお嫁にもらってあげてねなんて言ったけど……類くん、あの頃から今までずっと莉菜のこと好きだったのかしらね」
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