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「……」
知らなかった事実を第三者の口から伝えられる度に、類の想いの強さが胸に響く。
何かもう、嬉し過ぎて、どんな顔をしたらいいのかわからなくなる。
「姉ちゃん。類は本当に良いヤツなんだからさ、アイツを裏切るような事だけは、絶対すんなよ」
「そうよ。類くんを悲しませるような事したら、親戚中あんたの事悪者扱いするからね」
「……はい」
母は私が思っていた以上に、類の事を気に入っていたらしい。
その事自体はもちろん嬉しいけれど、この先類との交際にいろいろ口出ししてきそうな予感がして少しだけ気が滅入る。
その後も母の話は止まる事なく、私と豪はただひたすら延々と続く母の話に適当に相槌を打っていた。
時計をチラチラ見る素振りを見せてみたけれど、トークに夢中な母がそんな仕草に気付くはずもなく。
『そろそろ帰るね』の一言をどこで挟もうかな……と考えていたら、豪も同じ事を思っていたのか私より先に口を開いてくれた。
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