君が隠したSECRET

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何度かけても、繋がらない電話。 莉菜の電話は大体こうだ。 かけて、一発で繋がった試しなんてほとんどない。 だけど以前莉菜が俺の電話になかなか出なくて必要以上に心配したとき、彼女は約束してくれた。 これからは、ちゃんとすぐ電話に気付けるように努力すると。 「椿?どうした?何かあったのか」 「宮本さん。いえ、何かあったわけじゃないんですけど……」 「もしかして、また莉菜ちゃんが電話に出ないとか?」 「……っ」 この人には、全てを見通す能力でもあるんだろうか。 なんて疑ってしまいたくなるくらい、勘が鋭い。 日曜日の休日出勤の後、仕事の関係先との付き合いでの飲み会。 本当は欠席にして仕事が終わったらすぐに莉菜の店に迎えに行きたかった。 でも上司に『特別な理由がない限り今日は絶対出席で』と言い渡され、こうして仕方なく参加している。 「莉菜ちゃん、相変わらずだね。電源切れてるの?」 「いえ、今日は一応電源は入ってるんですけど……」 まだ店にいるのかとも思ったけど、もう23時を過ぎている。 こんな時間まで莉菜が店にいる事は、ほぼない。
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