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「莉菜ちゃん以外の事にはわりと無頓着なくせに、莉菜ちゃんにはもの凄い執着心を見せるよな椿って」
「……何とでも言って下さい」
否定なんかしない。
宮本さんの言う通りだと自分でも思うから。
「心配なのはわかるけど、俺達まだ帰れないしな。莉菜ちゃんの弟君に連絡してみたら?」
「豪にはとっくに電話しました。でも今日は彼女の所に行ってるらしくて、莉菜が帰宅しているかはわからないみたいで」
いつも居なくていいときにいるくせに、居てほしいときに莉菜の家にいない。
空気の読めない豪らしい行動だ。
「わかってるんですよ自分でも過保護だって事は。でも、何か莉菜ってどこか危なっかしくて……」
「うん、わかるよ。椿と莉菜ちゃんが一緒にいるところ見ると、椿の方がたまに年上に見えるときあるしね」
クスクス笑う宮本さんの発言を聞きながら、もう半ば出ないと諦めかけてまた莉菜の電話番号を発信したとき。
突然呼び出し音が途切れ、やっと彼女の声が電話の奥から聞こえてきた。
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