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「……類?」
彼女の声が聞こえただけで、一気に気が抜けた。
こんなに過保護になったらいけないってわかってはいるものの、行動に一切結びつかないから自分でも困っている。
「莉菜……ごめん、何回も電話かけて。……ちゃんと家に帰ったか気になったから」
正直にそう言うと、電話の奥の莉菜は微かに笑った。
「……そんなに過保護にならなくても大丈夫だよ。ごめんね、家帰ってスマホそのまま部屋に放置してご飯食べたりしてたの」
「電話、すぐ気付くようにしてって言ったじゃん」
「うん、そうだよね。……ごめんね」
「……」
いつもの莉菜ならこんな風に素直に謝ったりはしない。
最近の莉菜は相当俺に対しては素直になってきたとは思う。
けど、俺が何かワガママや甘ったれた事を口にすると、莉菜は必ず何か一言返してくる。
素直じゃない一言が、返ってくるはずなのに。
「……莉菜、何かあった?」
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