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「俺は、アイツがそう簡単にお前の事諦めるとは思えないけど」
「……」
「俺が初めて類に会ったのって、類がまだ小学生のときだったけどさ。そのときからアイツ、俺の事まるで敵みたいに睨みつけてきたんだよ」
類は、私のファーストキスを奪った。
まだ本当に子供だった頃に。
あのときは、好奇心でそういう事を私にしたんだろうとか、年上の私の事をからかってるとか、そういう風にしか思えなかった。
今なら、ちゃんとわかる。
類はまだ子供だったあの頃から、私を好きでいてくれていた事。
……それは、ちゃんとわかってる。
「それぐらいお前の事好きだったのにさ、簡単にお前の事手放したりしないだろ」
「でもそれは……!」
「普通は、離れるかもしれない。もう無理だって、現実を受け止めて別れる事を選ぶかもしれないよ。お前のように。……でも、類のお前への気持ちは普通じゃないだろ」
「……」
賢の言う通り、確かに類は普通以上の想いを私にくれていた。
惜しむ事なく、真っ直ぐに、全てをぶつけてきてくれた。
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