何度でも君に恋をする

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目の前の道路では、何台ものタクシーが行き来していた。 なのに賢は、なかなか手を上げて車を止めようとはしなかった。 「帰らないの?タクシー、今なら簡単に拾えると思うけど……」 「そういえばさ、さっき言い忘れてたけど。俺、転勤する事になった」 「……」 何、そんな重要な事サラッと言っちゃってるの。 さっきまで何時間もお酒を飲み交わしながら話していたのに、一度もそんな話、してくれなかった。 「ウソ、本当に?」 「本当」 「転勤ってどこに……」 「福岡」 「……急過ぎて話についていけないんだけど」 「話についていけてないついでに言うけど、お前も一緒に行く?」 「え?」 真剣に言っているのか、それともふざけているのか。 どちらとも読み取れない表情で賢はまたサラリと突拍子もない事を口にした。 「一緒にって……」 「だから、福岡。俺と一緒に行かない?」 それはつまり……何のムードも雰囲気の欠片もないけど、プロポーズ、なの?
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