154人が本棚に入れています
本棚に追加
三ヶ月の月日は、私の中では決してあっという間ではなかった。
自分から別れを告げたくせに、一日一日が果てしなく長く感じた。
仕事に没頭しながらも、頭の片隅にはいつだって類がいた。
朝、起きた瞬間。
夜、眠りにつく前。
たまに、夢の中でも類の姿を探している。
類と恋をしていたあの頃よりも、別れた今の方が類を想う時間は確実に増えていた。
今だって、そう。
三ヶ月の月日が流れた今でも、私の心の深いところに類がいる。
早く忘れなくちゃいけないのに。
いつまでも想っていたらいけない人なのに。
到底、新しい恋に踏み込む気のない自分がいた。
「……亜美ちゃん、最近……」
「え?何ですか?」
「……ううん、何でもない」
『最近、宮本さんから類の話聞いたりする?』
……なんて、未練がましく聞こうと思ったけど、やめた。
別れを告げた私に、そんな事を気にする資格なんかない。
それに類の近況を知ったところで、もうあの頃には戻れないのだから。
最初のコメントを投稿しよう!