何度でも君に恋をする-2

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「やらなきゃいけない事って……」 「母さんに全部聞いたよ。あの日、母さんが莉菜に言った事全部」 「……っ」 あの日の事は、今でもハッキリ覚えている。 忘れるはずがなかった。 ……人生で、あんなにも衝撃を受けたのは初めてだったから。 一瞬で全てが崩れ落ちていく音が聞こえた。 心臓が、止まるかと思うほどだった。 今でもあの日の事を思い出すと胸が締めつけられるように痛くなる。 「本当、勝手な話だよな。自分が犯した罪を莉菜にだけ打ち明けて、俺には何も言わずに隠し通そうとするなんて」 「え……」 「俺には絶対に言うなって口止めされたんだろ?やり方が卑怯だよな」 「でも、それは仕方なかったんだと思うよ。……今なら、そう思える」 母親なら、誰よりも息子を傷つけたくないと思うのはきっと当然の事なんだと思う。 ああするしか私達を別れさせる方法がなかったんだと思う。 ……例えどんな理由があったとしても。 「莉菜は本当、お人好し過ぎるよね」 「別にそういうわけじゃないけど……」 「結局母さんは、莉菜の優しさを利用したんだ。俺からすればそんな簡単に許せる事じゃないし、許していい事じゃないんだよ」
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